つまらない毎日 つまらない生活
嘘つきな夫に 嘘つきな家族
意味の無い けれどもそこに存在する
空気のような「私」
そこに人間が存在する事に 誰も気付かない
死人のような私
死人と全く同じならば 本当に死んでしまおうか
人々はきっと 死んで初めて 存在に気付くだろう
「私」という人間の

寂しい毎日 悲しい毎日
「私を一人にしないで」
そう願いながらも 静かに「死」を選ぶ
「私」の存在を信じて
きっと 手首を切ったその瞬間に
誰かが「私」の存在に気付いてくれる
きっと…

「おい」
その言葉に そっと目を開けてみる
心配そうな夫の顔が 視野に映る
「あなた…」
「大丈夫か?」
理由も聞かずに そう言った夫
「うん」
私は 静かに肯く
「私」という存在が 確かにそこにいた

「私」という存在を否定していたのは
  本当は 「私」なのかも知れない
初めて その事に気付いた
これからは 幸せになれるのかも知れない