「嫌…」
悪夢で、目が覚める。
これでもう、何度目だろう?
部屋中に、アイツの気配が在る気がして、落ち着かない。
アイツはもう、いないのに。
また、目を閉じる。
眠れない。
目を閉じる度に感じる、アイツの気配。
布団から起き出して、部屋にポツンと置かれた、大きな冷蔵庫の扉を開ける。
中には、アイツの死体。
毎夜繰り返される、悪夢のような現実を終わらせる為に、この手で殺した、アイツの死体。
瞳は、見開かれたまま。
信じられないというような表情をしたまま、固まっている。
私は、その目を手で閉じた。
「いつまでも、ジロジロ見ないでよ」
そう言って、アイツを睨みつける。
毎晩毎晩、こうして私は、アイツの目を閉じさせる。
冷蔵庫の扉を閉めると、私は再び布団に入った。
今度はちゃんと、眠れそう。
どうかもう、悪夢は見ませんように。
せっかく、現実の悪夢は消したのに。