お散歩中に、見つけた小道。
迷子になったら、ママ、心配するかなぁ?
ちょっと考えたけど、あたしはその道に入る事にした。
だって、面白そうなんだもん。
がさがさっ…
入り口は、木の葉でちょっと隠れていて、あたしは葉っぱをどかして小道に入った。
ドキドキ…
初めて入った、知らない道。
歩いて行くと、小さな小屋を見つけた。
そぉっと、窓から中を覗いてみる。
………
「きゃぁっ」
「うわっ」
「きゃぁっ」は私の声。
じゃ、後の「うわっ」は、って?
中には、あたしと同じ位の年頃の、男の子がいたの。
驚いちゃったよ。
あたしが窓を覗いたら、男の子が同じ窓から、外を眺めてたんだもん。
さっきのは、一瞬目が合った時の、互いの悲鳴?
あたしが窓からちょっと離れて、立ち止まっていたら、男の子が小屋から出て来たの。
ちょっとだけ、2人の間に緊張が走って…
「こんにちは」
あたしの方が、先に口を開く。
「こんにちは」
男の子も、あたしに言った。
「ここ、あなたのお家?」
「うん」
「可愛いお家ね」
「うん。ありがとう」
初めて会ったというのに、あたしたちは数分後には、すっかり仲良くなっていて…
「あ、そろそろ帰んなきゃ」
あたしがそう言うと、男の子は、少し寂しそうな顔をした。
「また、会えるよ」
あたしは言った。
「うん」
男の子、嬉しそうな顔をする。
明日もまた来ようっと。
あたしはそう思いながら、男の子にバイバイと、手を振った。
「あっ!」
歩き出して、ふと止まる。
「あたしの名前ね、琉巳香(るみか)って言うの!」
あたしは言った。
やだ、お互いに名前も知らないでお話してたんだ。
気付くの遅いし!(これは作者の突っ込みでし)
「僕は那玖琉(なくる)。また、遊ぼうねっ!」
男の子はそう言って、手を振った。

いつもと違う場所。
ちょっとした冒険心で、出会った男の子。
まさかその子が、あたしの旦那様になるなんて、あの時は考えもしなかったわ。
「ただいま、琉巳香」
あら、旦那様が帰って来たわ。
「那玖琉、おかえりなさい」
小さな可愛いお家には、幸せな2人。