【FUGITIVE】
ヤダ。
まだ死にたくない。
私は今、数人の男達に追われている。
何をしたわけでもない。
ただ、人とは違う能力(ちから)がある為に。
───能力に気付いたのは、最近の事だった。
テレビアニメの超能力に憧れて、ちょっとだけ浮くように念じたら、本当に浮いてしまった。
念動力というのか、物を手を触れずに動かす事も出来た。
それでも、家の中でしか能力は使わなかったのに、何故バレてしまったんだろう?
突然家に超能力研究所だとかいう所の人がやって来て、私を連れて行こうとした。
実験に使われるのだと思った私は、とっさに逃げた。
そして今、追われている。
───家の間を抜けて、ひたすら逃げる。
さっき撃たれた傷が痛む。
男達は、銃を持っているのだ。
───橋の下に隠れ、ひと息つく。
こんなの悪夢だ。
何故追われなければならないの?
───突然、男が目の前に現れた。
銃を突きつけられる。
もうダメだ。
覚悟を決めた瞬間───。
ジリリリ♪
目覚ましの音。
私は、目を覚ました。
───夢?
ホッとした瞬間、チャイムの音がした。
悪夢はまだ、終わらないらしい…。