JEST

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とあるカジノに、花田一家はいた。
ここ、【JEST】の世界では、赤ん坊でも動物でもカジノに入る事が出来る。
純一「今日はツイてねーなぁ…」
純一は、スロットで負け続けていた。
智美「今日はもう帰ろっか…」
同じく負け続けていた智美が言った。
スロットをしている夕姫と、その辺にいるねーちゃんを追いかけ回す篤樹を呼ぶと、一家は出口に向かって歩きだした。
…ふと止まる。
いつの間にか後ろを歩いていたハズの篤樹がいない。
智美「また女の子でも追いかけ回してるのかしらね」
智美はそう言うと、大声を出して篤樹の名を呼んだ。
智美「…おかしいわね。 いつもなら呼んだらすぐ戻って来るのに…」
智美がそう言った時の事だった。
一家の前に、突然死神のような男と、その男に捕まえられている篤樹が現れた。
篤樹「離せよ───っ」
篤樹が叫ぶ。
死神みたいな男「…コイツは、連れて行く…」
夕姫「何言ってんでちゅか!」
夕姫の言葉が聞こえたのか聞こえなかったのか、一瞬の内に男と篤樹は消えてしまった。
純一「なっ…何処に消えたんだ?」
智美「篤樹───っ!?」
叫び声は空しく響くだけだった。
篤樹は、さらわれてしまったのだ。

ひとまず家に帰った3人、純一と智美は篤樹を探す旅の支度をしていた。
そして、旅立ちの時。
純一「いいか夕姫、パパとママは、これからお兄ちゃんを助ける旅に行く」
夕姫「あたちも行くでしゅ!」
智美「夕姫はまだ赤ちゃんだから、連れて行けないのよ」
夕姫「嫌でちゅっ!」
智美「お願いだから、家にいてちょうだい? 夕姫ちゃんの世話は、お手伝いのバニーちゃんにお願いしてあるから」
夕姫「………」
純一「バニーちゃんの言う事を聞いて、いい子にしてるんだぞ」
そうして純一と智美の2人は、出かけて行った。

家に残されたバニーちゃんと夕姫。
夕姫は考えていた。
『赤ちゃんだからって、置いてくなんて酷いでちゅ! あたちだって、旅位出来るのにっ!でちゅ』
その日の夜、夕姫はこっそり家を抜け出して、旅に出かけた。
夕姫『あたちだって、やれば出来るでちゅっ!』

───ここから、限り無くおバカな冒険、【JEST】は始まる…。



夕姫「夜の街って、気持ちがいーでちゅ!」
夕姫は、家のすぐ前を歩いていた…。
夕姫「まずは仲間を集めなきゃでちゅよね。 その辺の人に声を掛けてみるでちゅ」
一家の暮らす[やんちゃ町]では、夜中でも人が歩いていた。
夕姫「そこのおばちゃん! 仲間になって欲ちいでちゅ!」
おばさん「おばちゃんとは失礼ね! 私まだ46よっ」
おばさんは、行ってしまった。
夕姫「ケチなおばちゃんでちね。 あ、おじちゃん! 仲間になって下ちゃいでちゅ!…」
…その後も何人かに声を掛けたが、誰も仲間になろうとはしなかった…。
夕姫「ケチばっかでちゅね! あ!でちゅっ! 酒場に行ってみるでちゅ!」
冒険の基本は酒場という、変な固定観念を夕姫は持っていた。

バーテン「いらっしゃいませ!」
夕姫「しけた酒場でちゅね。 人が殆どいないでちゅ」
酒場に入ると、夕姫は周りを見渡して言った。
バーテンは引きつった。
夕姫「こんなトコに用はないでちゅ!」
夕姫はそう言い残して酒場を出て行った。

夕姫「でも困りまちたね仲間がいないとやっぱり大変でちゅ」
始めから行き詰まる夕姫。
どーしたものかと考え込み、そして思い付いたのだった…。
夕姫「バニーちゃんを仲間に引きずり込むでち! あたちって、頭がいいでちゅっ!」
しょせんは赤ちゃんである。
バニーちゃんに見つからないように家を抜け出したというのに、夕姫はまた家に戻る事にしたのだった。

夕姫「ただいまっ!でちゅ」
抜け出したという事など忘れて、夕姫は玄関から家に入って行った。
夕姫「…アレ?でち…」
家の中には、バニーちゃんの姿はなかった。
バニーちゃんは夕姫が家にいない事に気付き、探しに出ていたのだった。
夕姫「お手伝いの仕事ほっぽりだして、何処に行っちゃったんでちゅかね?」
夕姫は勝手な事を言っている。
夕姫「まぁいいでちゅ。 今日はもう寝るでちゅ!」
そうして夕姫は、自分の布団に入って寝てしまったのだった。

───朝。
バニーちゃんは、まだ家に帰ってはいなかった。
夕姫「おかちいでちゅね…。 バニーちゃん、何処に行ったんでちゅ?」
夕姫はさすがに心配になった。
まさかバニーちゃんもさらわれたというのか?
夕姫は、町に情報収集に出かける事にした。



夕姫「バニーちゃんを見まちぇんでちたか?」
夕姫は街の人々に話を聞いて歩いた。
そして、ある情報を手に入れたのだった。
老人「最近、この辺りで人さらいが出ていますのじゃ。何でも魔の森に人さらいが住んでおるとの噂じゃが」
夕姫は魔の森に行く事にした。
夕姫「やっぱりRPGはこーでないといけないでちゅよね!」

1人で魔の森を進む夕姫。
当然ながら、敵さんのモンスター出現、である。
───スライムが現れた!
夕姫「やっとお出ましでちゅねっ!かかって来るでちゅっ!」
───スライムの攻撃。
夕姫はヌルッとした感触に酔いしれた。
夕姫は身震いしている。
そこへ、1人の女が乱入(つまり、戦闘に加わった)してきた。
謎の女「大丈夫かい?お嬢ちゃん」
夕姫は女に見惚れた。
夕姫「かっこいいでちゅ…」
謎の女は強かった。
一撃でスライムを倒してしまう。
───スライムを倒した。

夕姫「ありがとうございまちた。 助かったでちゅ!」
謎の女「え? いやとーぜんでしょう!あたい強いしっ!」
夕姫(心の声)『? 何かさっきと感じが違うでちゅ…』
謎の女「あたいはお嬢! 仲間になってやるよ!」
夕姫が何も言わない内に、お嬢と名乗ったその女は、仲間になる事になったのであった…。



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