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2人は隣町に辿り着いた。
さっそく町の人々に話を聞く2人。
篤樹の情報は得られなかったが、不思議な生き物の話を聞く事が出来た。
珍獣パンダが、最近この町に出没しているらしい。
夕姫「見たいでちゅっ!」
夕姫は無類の動物好きなのだ(動物なのか?)。
お嬢「あたい食べたい!」
お嬢は…雑食であった…。
かくして2人は、パンダを探す事にしたのであった…。
町の人々の話によると、パンダは肉とギャンブルが好きで、肉を加えながらカジノでスロットをしている所を目撃されたり、たまに空を飛んでたりするらしい。
夕姫「カジノに行ってみるでちゅ!」
お嬢「賛成───っ!」
何故かお嬢は、手にナイフとフォークを持っていた。
本当に食べる気でいるらしい。
危うしパンダ、である。
2人はカジノに着くと、パンダを探した。
夕姫はパンダの事で頭がいっぱいで気づいていないが、このカジノ、篤樹がさらわれた場所である。
お兄ちゃんはどーしたんだ? 夕姫よ…。
スロット台には、何人かの人がいたが、パンダらしきものは見当たらない。
夕姫「今日はいないんでちゅかね?」
夕姫が言った時、聞き覚えのある声がした。
爺閣下「パンダちゃんみ───っけ!」
お嬢「あっ!さっきの爺ぃっ!」
爺閣下「爺ぃじゃないぞなもしっ!爺閣下ぞな!」
夕姫「パンダ? パンダ何処?」
なんだか会話がかみ合っていないようだが…。
スロットにいた女の人が振り返った。
何やらあたふたしている。
夕姫「あっ!肉持ってまちゅ!」
お嬢「え───っ? パンダって珍獣じゃなかったの───っ?」
爺閣下「パンダちゃんは人間に化けられるぞなもし」
パンダ(らしき人)が逃げだした。
ちゃんと換金していったらしい。
爺閣下「あっ! 待つぞなもし───っ!」
お嬢「食いも───んっ!」
夕姫「結構逃げ足早いでちねっ」
逃げるパンダと追う3人…。
お嬢「おとなしくあたいに食べられなさ───いっ」
爺閣下「パンダちゃんは俺っちの獲物ぞなっ!」
夕姫「だっこさせてでちゅ───っ!」
一応、夕姫が一番まともらしい。
ボンッ
パンダが人間からパンダの姿になった。
夕姫「可愛いでちゅ!」
お嬢「おいしそう!」
フワッ
夕姫&お嬢&爺閣下「あ───っ!」
3人が一斉に声をあげた。
パンダはフワフワと空を飛んで、逃げて行ってしまったのだった…。
お嬢「あたいの食べも───んっ」
爺閣下「また逃げられたぞなもし」
夕姫「いつか絶対捕まえてやるでちゅ!」
3人はパンダを捕まえようと心に誓うのであった。
…って旅の目的変わってるって!



爺閣下「作戦会議を開くぞなもし!」
爺閣下の提案により、パンダを捕まえる為、作戦会議を開く事にした3人。
お嬢「静かなトコの方がいーから、宿屋にでも行く?」
夕姫「賛成でちゅ!」
…なわけで3人は、隣町の宿屋に入ったのだった。
なおこ「いらっしゃいまし〜」
夕姫「あんたはやんちゃ町のっ!? なんでここにいるんでちゅか?」
そう、宿屋にいたのはあの、やんちゃ町の宿屋にいたなおこであった。
なおこ「お引っ越ししたんですよ〜」
お嬢「あらなおこ、久しぶりだね〜」
夕姫「お嬢…会ったばっかじゃないでちゅか」
お嬢「あら、そうだっけ〜?」
爺閣下「…惚れたぞな」
今まで黙っていた爺閣下が、ボソッと言った。
なおこ「はい?」
夕姫「爺ぃ、なんか言いまちたか?」
爺閣下「惚れたぞなぁ───っ! なおこちゃん、俺っちと付き合っ…」
なおこ「嫌です」
…なおこは笑顔できっぱり断った。
───爺閣下は石化した。
結構純情だったらしい。
夕姫「作戦会議はどーちたんでちゅか?」
お嬢「あ、すっかり忘れてたよ。なおこ、部屋借りるよっ」
なおこ「じゃあ、ご案内しま…」
夕姫「自分で行くからいーでちゅっ」
夕姫は慌てて言ったのだった。
部屋に入った2人は、作戦会議を始めた。
夕姫「さて、どーちたものでちゅかね?」
お嬢「肉で誘き寄せるってのは?」
夕姫「…却下でちゅ…パンダが来る前にお嬢が食べちゃいそうな気がするでちゅ」
お嬢「うーん…ありえるかもなぁ」
夕姫「………」
その時、叫び声が聞こえた。
なおこ「キャ───ッ!?」
夕姫「なおこの声でちゅっ」
お嬢「あら、どーしたんだろーねぇ?」
夕姫「まさか爺閣下が!?」
お嬢「駄目よそんなぁっ…」
…夕姫はお嬢をおいてなおこの元に走った。



夕姫「なおこっ!大丈夫でちゅかっ!?」
───なおこの元に辿り着いた夕姫が目にしたのは、ゴキブリをスリッパで叩き潰したなおこの姿だった。
なおこ「あら夕姫ちゃん、どーしたの?」
夕姫「悲鳴が聞こえたから駆けつけたんでちゅよっ」
なおこ「あら、私悲鳴なんてあげてましたぁ?」
どーやらなおこは自分が悲鳴をあげた事を忘れているらしい…。
夕姫「あ、そーいえば爺閣下は?」
なおこ「爺閣下さんなら、ちょっと邪魔な位置で固まってらしたので、角の方によけてありますよ」
『一体どーやって石になった爺ぃを移動したんでちゅか?』
聞くのが恐ろしかったのか、夕姫はその言葉を飲み込んだ。
その時お嬢が降りて来た。
無事らしいなおこを見てお嬢は思った。
『なーんだ…期待してたのに…』
一体何を期待してたというのだろう?
夕姫「あ、お嬢。爺ぃ石化したままなんでちゅけど、どーちまちゅ?」
お嬢「そーねぇ…邪魔だから砕いちゃおっか…」
お嬢の言葉が聞こえたのか、爺閣下の石化がとけた。
夕姫「あ、爺ぃが元に戻ったでちゅ」
爺閣下「早く部屋に行って作戦会議を始めるぞなもし」
結構立ち直りの早い人らしい。
かくて3人は、ようやく作戦会議を始めたのであった。

爺閣下「俺っちの魅力で、パンダちゃんを誘き寄せるっていうのはどうぞなもし?」
夕姫&お嬢「却下」
夕姫「食べ物で釣るっていうのも、お嬢が先に食べちゃいそうで出来ないでちゅよね…」
お嬢「パンダを食べる為なら我慢するわよぉっ」
夕姫「ダメでちゅっ!パンダちゃんはあたちのペットにするんでちゅよっ!」
爺閣下「パンダちゃんは美女に化けてもらって俺っちの彼女にするぞなもしっ!」

その頃パンダは、木の上でのんきに昼寝していた。



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