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夕姫達は、ようやくパチンコ店まで辿り着いた。
爺閣下「長い道のりだったぞなもし」
夕姫とお嬢は爺閣下を睨みつけた。
元はといえば、爺閣下が道に迷ったのがいけないんじゃないか…。
2人の目は、そう語っていた。
爺閣下「そ…そんな目で見ないで欲しいぞな…」
爺閣下は怯えている。
お嬢「夕姫、中に入ろーか」
かまわず2人は中に入っていった。
爺閣下「女は怖いぞなもし…」
爺閣下はそうつぶやくと、フト横を向いた。
誰かが爺閣下を見つめている。
爺閣下「猫パンチじゃないかぁっ!久しぶりぞなもしぃ!」
どうやら爺閣下の知り合いらしい。
猫パンチ「久しぶりなのだ!」
爺閣下「嫁さんは見つかったぞな?」
猫パンチ「まだなのだ。なかなかいい人は見つからないのだ。爺閣下はここで何してたのだ?」
爺閣下「あ…忘れるトコだったぞな」
爺閣下はこれまでのいきさつを手短に話すと、猫パンチと一緒にパチンコ店へと入って行った。
夕姫達は、パンダを探してうろうろしている所だった。
爺閣下「パンダちゃんは見つかったぞな?」
夕姫「人間に化けてるんでちゅかね?お顔忘れちゃったでちゅ…ところでその人誰でちゅか?」
夕姫は猫パンチを指差して言った。
爺閣下「俺っちの友達のパンチ・ザ・キャットだぞな。嫁さんを探して旅をしてるんだぞなもし」
どうやら猫パンチというのはあだ名らしい。
夕姫「ダンディーな方でちゅね!あたち好みでちゅ」
夕姫はうっとりとした目で猫パンダを見つめた。
末恐ろしい赤ちゃんである。
猫パンチ「可愛いお嬢ちゃんなのだ」
───ピクッ
お嬢がその言葉に反応した。
お嬢「お嬢…ちゃん?」
お忘れかも知れないが、お嬢はちゃん付けされるのが嫌いなのだ。
爺閣下「夕姫の事ぞなもしっ」
爺閣下が慌ててフォローした。
お嬢「あらそう。ところで爺閣下、早くパンダ探してよ!」
どうやらお嬢もパンダの人間の姿を忘れているらしい。
一方パンダはというと…。
肉を狙ってパチンコに熱中している為、夕姫達には気付いていなかった…。
その時、店にパーティーが入って来た。
2人は見覚えのある顔である。
夕姫「あ───っ!でちゅっ」
夕姫が叫んだ。
?「あら、夕姫ちゃんじゃないの!」
魔法使いが言った。
お嬢「あら夕姫、知り合い?」
夕姫「し…知り合いも何もっ…パパとママでちゅよ───っ!!」
初回から消えていた、戦士のパパ純一と、魔法使いのママ智美である。
普通ならここで親子の感動の再会とでも行く所であろうが…
純一「夕姫!何でこんな所にいるんだっ!?家で留守番してろと言ったじゃないか!」
純一は夕姫を怒鳴りつけた。
夕姫「パパ達こそ、お兄ちゃんは見つけたんでちゅかっ!?」
6ヶ月の赤ちゃんと、24歳の大人の見苦しい親子喧嘩である。
純一「そっ…そんなに早く見つかるわけないじゃないかっ!そんな事より聞かれた事に答えなさいっ!」
夕姫「偉そうに言わないで下ちゃいよっ!説明するのめんどくさいから嫌でちゅっ」
純一「親に対してそんな言い方はないだろっ!赤ん坊のクセになまいきなっ」
もはや親の台詞ではない。
夕姫「うるさいでちゅっ!娘を誘拐犯と一緒に留守番させとくのがいけないんでちゅよっ」
その時、側でわなわなと震えていた智美が切れた。
智美「おだまりっ!!」
夕姫と純一はピタリと止まった。
智美「さ〜て夕姫ちゃん、1から説明してもらいましょうか?」
智美はニッコリと微笑んで言った。
そこにいた人間の全てが寒気を感じた。
───夕姫は、パパとママにこれまでのいきさつを簡単に説明した。
智美「なる程ね…チッ、人選ミスったか」
智美がボソッと呟いた。
バニーちゃんの事を言っているらしい。
純一「まぁここまで来ちゃったのはしょうがないからな。パパ達と一緒に行こう」
夕姫「いーんでちゅか?」
夕姫は喜んだ。
やはり夕姫も寂しかったのだ。多分。
智美「パーティーの紹介をするわね」
智美が言って紹介したのは、つぶらな瞳のヒナモン(仲間にした時はヒヨコだったらしいが、今は鳥の姿をしている。お嬢の目が怪しく光ったのは、言うまでもないだろう…)と、応援が得意だという応援狼、そして…
智美「探したのよ」
と智美が声をかけたのは、なんと…夕姫達が追っていたパンダだった。
パーティーを組んでいたのだが、途中ではぐれてしまったらしい。
智美はパンダに肉を渡すと、
「じゃ、行きましょうか」
とニッコリ言った。
夕姫達は驚いたが…
夕姫はパンダと一緒にいられる事で喜んだ。
爺閣下も悪くはないと思っているらしい。
お嬢は少し落ち込んだが、パンダと一緒に行動していれば食べるチャンスも出て来るかもなどと思い直し、すぐに元気を取り戻した。
かくしてパーティーは、夕姫・お嬢・爺閣下・猫パンチ(仲間に加わったらしい)・純一・智美・ヒナモン・応援狼・パンダと一気に増え、ぞろぞろと篤樹を探す旅を再開する事となった。
シュミレーションRPGでも出来そうな人数である。
戦闘メンバーは4人なので(設定上そうしてあったり)、取り敢えず夕姫(主人公は外せないらしい)・お嬢(普段はともかく戦闘時はメチャクチャ強かったり)・純一(戦士は入れたいな…なんて)・応援狼(回復出来るらしい)でいく事になった。
ようやく目的が戻ったらしい。
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